人工知能とディープラーニング(深層学習)の向かう先は。

ここでは技術的な解説などはしない.エッセイ的なものとして理解していただきたい.

 

ディープラーニング(深層学習)という言葉はポピュラーなものになりつつあり,ニュースなどでもちらほら見かけるようになってきた.ビジネスシーンはもちろん,日常的なところでも応用されつつある.たとえば音楽シーンでは,数年まえの紅白歌合戦Perfume のステージで使われたりもしてちょっと話題にもなった.

世間にディープラーニング機械学習といった理論・技術の概念が広がるとともに,多くの書籍や記事が出回るようになった.ただ,私見だがシンギュラリティなんて当分起こりえないだろうし,人工知能(と世間的に呼ばれるもの)が科学的な理論・技術の範疇を超えて人間の思いもよらない進化を遂げることなどありえない.それはもう SF の世界観だ.

私の解釈では,人工知能と呼ばれているものは数理的手法に基づくモデルをプログラミング言語によって実装したものの集合体である.そう,端的に言えばプログラムの集まりなのだ.人工知能は歴史的にもこれまで三回ほどブームを繰り返してきて,学術的にも実用的にもまだまだ発展途上だ.可能性は無限大なのだが,それが独り歩きして人類にとっての脅威となりうる存在になるような事態は,少なくともこの数年では起こりえないだろうと思っている.

 

むしろ,人類にとっての脅威となる可能性は,人類そのものが引き起こすのだと.

たとえば,人工知能そのものというよりその理論体系や技術を生命科学創薬といった領域に応用する場合.これらの領域においては各国で規制や法令が厳しく定められており,現状では表立って人命を脅かすような応用のされ方というものは私の知る限りでは見受けられない.

しかし,一歩間違えれば簡単に人の命に関わる,あるいは生態系に影響を及ぼすことのできるレベルにまで近づいているのだと思う.もちろん,数理的手法を適切に応用することで,医療などを通じて人類への多大な貢献が期待できるし,その一方で,表立っては出てこないもののこの世界のどこかで人類にとって脅威となりうるような研究開発が進められている可能性があるということは,意識しておいたほうがよいだろう.

ディープラーニングに代表されるような人工知能にまつわる話題としては,人間の仕事が奪われて大量に失業者を生み出すのでは,というものも一時期あった(今も?).研究機関や企業の努力によって様々な領域で人工知能にまつわるサービスが出てきていることは確かだし,定型的な仕事,すなわち明確に定式化可能な事柄は人工知能(と世間的に呼ばれる自動化システム)に置き換えられるというのは時代の趨勢だ.

したがって,デスクワークを中心として,臨機応変な判断や意思決定定などを伴わない定型的な作業「だけ」できる人は置き換えられてしまうというのは,残念ながら企業経営の立場からするとコスト面で致し方ない選択だし,企業に雇われる側からすると定型的な作業「だけ」ではなくより付加価値の高い仕事ができるようになる必要がある.他人事ではなく明日は我が身,ということだ.

 

人工知能ディープラーニングにまつわる話題は,今後も尽きないだろう.いかにして人の言葉の意味を解釈できるか,感性を持てる(持っていると人に感じさせられる)か,論理の飛躍を生み出せるか,法律上の問題は,倫理的な問題は,社会的な意見の一致や組織における統制方針は,などなど.

それらの論点が語りつくされ,学術的・実務的な発展が進んだその先には,ひとつの到達点が見えてくるのかもしれない.